« 冒険の酒場8にご参加いただき、ありがとうございました!! | トップページ | TRPGってなに? それおもしろい?(前・後編) »

2015年4月13日 (月)

冒険の酒場第8回リプレイ報告~マギカロギア編シナリオ『このままならぬ世界で』

 プレイ報告第1弾はマギカロギアです。Role&Roll125の『このままならぬ世界で』のリプレイ(プレイ報告)です。ネタバレがありますのでご注意ください。

イベント自体の報告はこちら

冒険の酒場8にご参加いただき、ありがとうございました!!
https://kokutoblog.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-c3ca.html

冒険の酒場はこんなイベントです

冒険の酒場とは
https://kokutoblog.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-93b4.html

セッション前
 朝の9時集合、9時30分開会の挨拶ののち、メンバーは各卓に散っていきました。マギカロギアの卓は恒例の一番奥です。今回新装備が加わりました。折り畳みテーブルです。これでPLが全員がキャラシートを見開きで置けます!

PC&PL&GM紹介
 参加者はGM経験のみのGMと経験者のPLが2人、初めてのPL(ただしルールブック所持)が1人という面子。経験者率がさらに高くなってまいりました。

 PCデータも載せました。なお、紹介は席順です。

“恒河沙の制裁”(ごうがしゃのせいさい)土御門 景清(つちみかど かげきよ) PL:団長
 第5階梯の書警にしてもと学院教師。現在は神社の縁の下に勝手に住み着いている! そして神社の神職(実は退魔師)となんかイイ雰囲気に、ナマズ髭がトレードマークの1111歳(!?)。

 プレイヤーは当サークル黒骰子団の団長! 相変わらず発想が斜め上を行ってます! 例えば、先の神社の神職で実は退魔師と聞けば、イメージは純和風の大和撫子で来るところですが、日本文化マニアが高じて退魔師になったイギリス人だったりします(オイ)。

 『マギカロギア』は初参加ですが、まあ、団長なので大丈夫でしょう。と、思ったら、確かに大丈夫でした。初めてのルールをがしがし噛み砕き、ここのプレイスタイルをグチョグチョと咀嚼しておりました。普段はGMになってしまうので珍しいものが見られました。

景清・キャラクターシート
「kagekiyo-l.jpg」をダウンロード

「kagekiyo-r.jpg」をダウンロード

“クリムゾン チェイサー”天(そら) PL:harudさん
 第5階梯の書警にしてもと学院の教師! あれ、この設定どっかで見たことがある。ここでは経歴や機関をランダムで決めるので、こういうことがあります。ただしこちらは20才の青年にして病人!? いったい何者なのか・・・正体不明感が漂います。

 子孫のひとりが生ける死者となってしまい。どうするべきか目下思案中。弟子の新聞記者も才能があるはずなのにまったく魔法能力が発現せず、こちらも目下思案中。悩み多き永遠の20才・・・

 PLはharudさん。マギカロギアにも大分慣れてきて、数々のギミックを用意して禁書に挑みます。結果の方は本編で・・・

天・キャラクターシート
「sora-l.jpg」をダウンロード

「sora-r.jpg」をダウンロード

“ウィスキー キャット”ルナ PL:坂本 和也さん
 第5階梯の書警(!?)にしてもと円卓(の騎士)。今日は書警が揃ってしまいました。偶然って恐ろしい。

 そしてネコ耳バー「六分儀市の奇跡(ミラクル)」に勤務する28才、オスではなく男性・・・なかなかブッ飛んでます。しかしこれらの設定が次々と拾われて、セッションを引っ張ることになろうとは!

 プレイヤーは2回目の坂本さん。会場となっている「街のあかり」のスタッフさんです。ランダムで決まったデータから設定を膨らませるなど、急成長が見られます。今後が楽しみです。

 現在ここで使っているキャラクターシートには、決定の際に出たダイス目と対応する内容が記録できるようになっています。データをどう解釈したのか、軌跡が読み取れるようになっているわけです。詳しくはキャラシートをご覧ください。

ルナ・キャラクターシート
「luna-l.jpg」をダウンロード

「luna-r.jpg」をダウンロード

GM:除温冷脳64(じょんれのん64)
 魔法使い、超常能力者、異能者大好きGM。マギカロギアには大分なれて来たはずですが、まだまだ品質が安定しません。未だ試行錯誤中といったところです。

ツィッターアカウントはこちら
https://twitter.com/johnlenon64

作品紹介
 今回もマギカロギアに初挑戦の方がいますが、経験者の数が上回っているのと、そもそもその初心者が団長なので、通常のセッションと変わらなくなりました。

 作品紹介に関しては前回通り、用意したペーパーを使いながら流し気味に、というか完全に流しました。経験者と団長ですから。

 ベースになる解釈は例によって以下のコンテンツを使っています。

(仮)マギカロギア・ヘヴンズドア
http://kokutoarchives.cocolog-nifty.com/blog/

 上記のアドレスからカテゴリー「mglghg」へ、特にチャート類が直接のソース、さらに基本方針が「ゲームに参加する皆さんへ」になります。

 ※オフィシャルの作品ガイドが使い難いので私家改訂版を作る

キャラメイク
 今回は、全員フルメイクです。全員一斉にサイコロを振ってもらい、結果を読み上げました。ハンドブックを渡して各自で作成してもらおうと考えていたのですが、ガイドが不十分である、ハンドブックが1冊しかない、そもそもどんなレベルの参加者が来るか分からない時点で、この方法は難しいと思いました。

 PL3人のためそれぞれ第5階梯としました。しかし書警3人とは、前回とは逆に防御力と連携に不安が残りますが、前回より“ゲタ”を高めに履かせることにしたので、まあ大丈夫でしょう(本当?)。

 今回はシナリオの都合上、シナリオアンカーがPCの関係者、ということで、キャラメイクの時点で取得させることにしました。PCが3人しかしないので、1人は通常と同じ初見扱いになります。ここでもやはり、ランダムで、結果は零時、もちる、そらが選ばれました。

 魔法以外の部分は比較的あっさり決まったのですが、魔法が、迷いました。経験した分、考えることが増えたのでしょう(特に天はギミックを考えていたので難航しました)。結局正午の時点で昼食に入りました。

 ※一斉にサイコロを振り、データを揃える形で、キャラメイクを効率化する手順を考える

プレイ開始
 予定通りR&R125の『このままならぬ世界で』をプレイしました。以下ネタバレがありますので、知っているシナリオができないという方はここまでお願いします。

 本来は4人のところを3人で行きますが、リミットはそのまま、シーン毎に発生するイベントもそのままにしてあります。実はリミットは伸ばし忘れてしまいました。シナリオにはリミットを発表する場面がなく、導入であわててアドリブで挿入したためです。

 ※シナリオ処理に「総階梯数=階梯×人数」「総シーン数=リミット×人数」の算出を追加

導入フェイズ

マスターシーン
 事件の予兆が示される
 まず今回の魔法事件をマスターシーンで予告しました。用意されたテキストをほぼそのまま読み上げたので掲載しません。事前の声出しではカミカミでしたが、なんとか形になった、かな?

“恒河沙の制裁”土御門 景清
 景清の導入は零時との日常です。

 昼間の歓楽街、空き缶を満載したリアカーを引くのは、なんと景清、不老不死にして万能の魔法使いがなぜホームレス? この辺りの思考は常人には計り知れない。そのホームレスのところに転がり込んだ零時も相当なものだ。ただ状況に流されただけかもしれないが。

 というわけで、後ろから押すのは零時だ。これがいくらになるのか尋ねている。景清の示した金額に落胆するところを見るとそうとう低いらしい。それを景清がたしなめる。金を稼ぐというのは大変なことなのだと。なかなか含蓄のある会話だが、零時が彼の正体を知ったら、どう思うだろう?

 そんなとき、頭上から小鳥が舞い降りてきた。景清が慌てて懐に隠す。零時が怪訝な顔をするが、追求はしてこない。見られてはいないようだ。その後、頃合いを見計らって取り出したのは、ただの紙きれだった。正確には小鳥の型紙だ。大法典からの招集状だった。

“クリムゾン チェイサー”天
 天はそらとの導入になりますが、どちらかといえば庇護している神父(生ける死者)とのやり取りを傍らで見守るものになりました。そういえば、天とそらは同名です。なにかネタにできればよかったですね。

 平日午後の教会は人影もなく静かだ。寺や神社とは違い、近くを通りかかったからといって教会に立ち寄る者は珍しい。その意味でまだまだマイノリティーな場所と言えるだろう。しかし今日は珍しく訪問者がいる。

 峰岸そらだ。月に数回、懺悔というか、話を聞いてもらいにやってくる中学生である。家庭に事情があり、自分の居場所がない。家を出たいと言っているが、悲しいかな中学生である。彼女が取れる選択肢はあまりにも少ない。せいぜいここでガス抜きをしてしのぐのが関の山だ。

 天は良くないと思ったのだが、魔法使いの耳は常人には聞こえないものが聞こえる、特に心の声が。彼女が来ると建物の外に出るのだが、やはり耳には入ってしまう。もし彼女がいよいよ進退谷まるときが来たら、力になろう。もっとも、今はまだ、その時期ではないが。

 そんなことを考えていたそのとき、大法典の公式回線が開いた。「シブニシュウゴウサレタシ」。

“ウィスキー キャット”ルナ
 ルナはもちるとの導入になります。何やらキナ臭い様子。

 六分儀市のバー“奇跡(ミラクル)”はまさに奇跡と呼ばれる店だ。そう、存在していること自体のが奇跡だ。オープンした当時、周囲は半年を持たずに潰れるだろうと思っていた。ネコ耳バー・・・店員が全員ネコ耳、さらに客もネコ耳だ。入店時に装着していなければ、ドア前にいるバウンサーにつまみ出される(もちろんバウンサーもネコ耳だ!!)。

 ところがどうだ、連日客入りは盛況で、皆勤賞の客まで現れる始末。六分儀市のナイトシーンは価値感の見直しを図られている・・・というようなことはルナにはどうでも良かった。今一番の問題はその中に目ざわりな客がいることだ。

 安倍川もちる。この街の有力者の息子で近々結婚する。その相手が、なんとルナの恋人、心愛(ここあ)である。明らかな政略結婚だ。そしてこうして毎日やって来て無言の圧力をかけてくる。今日も鋭い視線を背に感じながら、ルナは店に出る。

 神経をすり減らしたシフトが終わった頃、大法典からの緊急連絡、「至急支部に」、一難去ってまた一難・・・

マスターシーン
 分科会が結成される
 事件の概要が公開される

 導入フェイズの最後はマスターシーンによる大法典からの「命令」です。ここで分科会結成となります。

 PC全員が図書館に集まった。この支部を取り仕切る影原女史が概要を語った。現在六分儀市では「爆撃機が上空をよぎる」幻影が発生しており、実害はないものの、多数の報告が寄せられている。六分儀市は先の世界大戦で空襲を受けており、関連も考えられるが詳細は不明。そこでPCたちは調査のうえ、禁書を回収して欲しい、とのことだった。

 PCたちはうかない顔をした。それぞれのメンバーには所属する分科会がある。わざわざ自分たちを個人で指名した理由が分からなかったのだ。影原女史が続ける。封印結界の配置が今完了したので、近々に発動させる予定になっている(ゲーム単位としては3サイクルです)。なお、憑依候補者として挙げられているのは、次の人物たちである。

島倉零時
峰岸そら
安倍川もちる
桑田利男

 そういうことか、封印結界が発動すれば、憑依された者も無事では済まない。その前に自分たちでなんとかしろ・・・最近の大法典には余裕がない。正体の分からない=若い禁書、大物の気配がしないからサクッと融合させて回収するつもりなのだ。

 こんなものに巻き込まれてはたまらない。回収を急ぐとしよう。

 今までお知らせして来なかったのですが、ここでのプレイ報告では、参加者の発言に加えて、参加者やキャラクターの認識も書き出しています。そのため、実際のやり取りでは発言していないことも書いています。(→hekc080801追伸1:ドキュメンタリーとしてのリプレイ)

 例えば、このマスターシーンの後半はほぼ発言はありません。しかしマギカロギアの経験者であれば理解しているであろうと仮定して書いています。本来なら両者は分けるべきなのかもしれませんが、手間と求められている効果を考えてこうしております。あしからず。

メインフェイズ
 これよりメインフェイズに入ります。前回より「シーン記録シート」を使っています。プレイの覚書というリプレイ対策と、セッション中の機能として、シーンの各要素を明らかにして、これから始まるシーンを組み立てるための指標とするためです。

 主な要素は、

 シーンの内容(発生が決まったイベント、効果)、

 判定に使った刻印、シーン表の番号(と内容)

 です。これらからシーンを作る実例はこれから始まる第一サイクル以降をご欄ください。

シーン記録シート(mglghd011201チャート類)
http://kokutoarchives.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/mglghd011200-f1.html

第一サイクル

“恒河沙の制裁”土御門 景清
 島倉零時の【秘密】+禁書の由来の【人物】が公開される
 刻印は<情熱>、シーン表は6(裏路地)

 住処に戻ってきた景清をみた零時は思った。いつものおじさんとは違う、情熱的で気合が入ってる。恐る恐る声をかける零時に景清が取った行動は、もちろん「めくる」である。もし断章に憑依されていれば、間違いなく魔法戦になる。しかし、それも辞さない決意が目に宿っていた。

 結果から先に言えば、零時は憑依されていなかった。彼は見た目の通り、多少の事情があるものの、ただの家出少年だった。安堵する景清、しかしそれも束の間、気になる記述が続いていた。彼の画才は曽祖父、島倉左門譲りのものだが、左門の描いた絵が禁書「紅葉に濡れた烏羽」になっていたのだ!

 「めくる」調査方法については、mglghd010900セッションの調査の項を参照のこと
 http://kokutoarchives.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/mglghd010900-03.html

“クリムゾン チェイサー”天
 峰岸そらの【秘密】が公開される
 刻印は<不安>、シーン表は9(本)

 景清の報告を聞いた天に戦慄が走った。あそこが憑依されていないのなら、残ったところはほぼ確実に憑依されている。彼女も間違いないだろう。なんとかしなければ、真正面から行くにしても無策は無謀だ。

 教会を後にする少女の前に天は現れた。何気ない風を装い声をかける。そしてすれ違いざま、天はそらの肩に手をかける。他人が見れば変質者だが、彼がこれからやることは、ある意味それ以上だ!(オイオイ)

 肩にかけた手が音もなく沈み込んで行く。彼女の持つ<不安>にシンクロしながら、静かにゆっくり「めくる」。少女のことをよく知っている天だからこそできる芸当だ。

 案の定、少女は断章に憑依されていた。「なんてこった」、思わず呟いてしまった。シンクロが破れる。ページが指をはね飛ばし、少女が飛び退った。そこにいるのは将来に不安を抱く少女ではない。禁書の断章<烏羽>だ。

“ウィスキー キャット”ルナ
 断章<烏羽>との魔法戦

 天から連絡を受けたルナが一瞬で教会にやって来た。目の前にいる少女が尋常でないのは一目瞭然だ。すぐさま挑戦の名乗りを上げる。

 「私は力の領域の魔法使い“ウィスキーキャット”! お前を酔い潰す!」

 魔法戦の結果はもちろん、ルナの勝利でした。さすが第5階梯の書警、地力が違いますね。それと<改竄>が<絶望>で抵抗だったので、まったく効かなかった幸運もありました。

マスターシーン
 安倍川もちるによる魔法災厄

 六分儀市の駅前にある銀行ビル。人気のない裏路地側の壁でそれは起きていた。フードを被った、背格好からして多分男だろう。片手にカッターナイフを持っている。こんなところで強盗? いやいや、ソイツはキチキチキチッと刃を出すと、自らの手の平を切りつけた! そして今度は反対も!!

 そして、両手を掲げると、不自然なほどの血が手から流れ出した。そのまま目の前に壁に手の平を叩きつける。周囲には鉄のにおいと赤い液体が飛び散り、壁には大きな紅葉が現れた。肩で息をしながら、ソイツは呟いた「あんな家に生まれなければ、ありのままの自分でいられたのに!」。

 この魔法災厄により、憑依者の憑依深度が1上昇した。毎サイクルの最後にこのシーンが挿入される旨をPLに伝えた。しかし今ごろになって「安倍川もち」るに気が付くなんて、セッション中は誰も突っ込まかったよ!

第二サイクル

“恒河沙の制裁”土御門 景清
 禁書の由来の【秘密】+もうもどらないの【人物】の公開
 刻印は<自由>、シーン表はまたも9(本)

 零時から曽祖父のことを聞き出した景清は、零時の実家に赴いた。もちろん、扉などには鍵がかかっているのだが、魔法使いにとっては、見せかけに過ぎない。現世の制約から彼らは自由なのだ。

 昔のものは物置だと言っていたが、妙に広くなっている。零時が家出した後に処分したのだろう。遅かったか・・・一瞬思ったが、棚の隅の分厚い手帳が目に入った。手に取ってみる、それは島倉左門の日記だった。

 日付は戦中から続いており、絵のことや戦中の苦しい生活のことが書かれていた。そして問題は、終戦から数日後の記述だ。家族を養うために、画家になる将来を諦めなければならなくなったことが理由ともに綴られて・・・最後は言葉にならない、ひっかき傷のような線が引かれているだけになってしまった。

 翌日の日記はまた落ち着いた筆跡に戻っており、一日時間をもらい絵を描いたこと、ただそれだけが記されていた。景清はその行間を“読み込んだ”。

 暑い夏の日の物置、ここは左門のアトリエだったようだ。爆撃機が襲来する六分儀市の駅前を繊細なタッチで描き上げている青年、これが左門だろうか? 汗を流しながら最後のひと塗りを終えると、出来栄えを確かめるように一歩引いて絵を眺めている。

 そして出来栄えに満足したのだろう。小さく「よし」とつぶやくと、両手に絵具を持ち次々とパレットいっぱいに“ぶちまけていく”。赤に白に黄色が混ざり合うパレットに両の手を押し付けると、今度はキャンバスに叩きつけた。イーゼルが折れるのではないか思うような勢いで。

 叩きつけるたびに、赤に白や黄の混じった絵の具が手の平の形に押し付けられていく、まさに燃えるような、紅葉だ。出来上がった絵は、繊細なタッチの街並みに荒々しい炎の対比が、見る者に強烈な印象を残すものとなっていた・・・

 その後の日記は、ただ淡々と戦後の混乱を生きる青年の日常が記されていた。絵のことには、一切触れなくなっていた。

 これで答えは出た。日記を閉じた景清は島倉家を後にしようしたが、魔法使いの目はもう一つの痕跡を捉えていた。絵はここにあった。ならば、禁書になったのもここのはず・・・戸口に誰かが立っている。白人の少女だ。といってもこれは幻影で過去のものだ。

 別に必要ないのだが、脇に避けると、少女は日記のあった棚の前に行き、朽ち果てようとしていた絵の描線をなぞった。すると、絵はかつての姿を取り戻し、爆撃機はキャンバスを飛び出し、少女と共に出て行った。これが、この魔法事件の発端だったのだ。

“クリムゾン チェイサー”天
 安倍川もちるの【秘密】の公開
 刻印は<大地>、シーン表はまたも6(路地裏)

 少女から断章を回収できた天は、安心したのも束の間、とんでもないものに出くわした。そこは駅前の銀行ビルの裏、美術に心得のある者が見たなら、それは落書き以上のものだと答えただろう。真っ赤な手の平から垂れた“絵の具”が大地に流れ落ち、さながら、紅葉の林と化している。

 そして犯罪に詳しい者が見たなら、それが血によって描かれており、事件の可能性を考えるだろう。さらに魔法使いなら・・・天は躊躇なく、紅葉の林を“めくった”。

 予測通り、この絵は安倍川もちるが描いたものだった。しかし彼が同性愛者だったとは・・・もしかして彼があの店に通い詰めていたのは、恋敵に圧力をかけていたのではなく・・・天はそれ以上考えるのを止めた。悲劇と喜劇がないまぜになり、頭が痛くなったのだ。

“ウィスキー キャット”ルナ
 断章<濡れ>との魔法戦

 天から真相を聞かされたルナは頭を抱えていた。もちろん今夜もヤツは来る。自分の関係者でもあることだし、状況が許すなら、自分がヤるべきだろう。連戦はキツイがやるしかない。

 店が開くと、いつものように、もちるはやって来た。いつもなら、できるだけ離れているのだが、今日は違う。こちらから迎えに行く。普段とは正反対の対応にもちるは驚いたようだ。明らかに戸惑っている。ルナは覚悟を決めて切り出した。

「もちる、ヤらないか?」

 ルナの呪圏が広がり、もちるを包み込もうとする。もちる=断章<濡れ>も負けじと呪圏を広げ、押し戻そうする。遅れまいと景清と天が飛び込む、もちろん、二人ともネコ耳だ。さらにもう一人、白人の少女だ。もちろん、ネコ耳だ。

 憑依深度が高まり、攻撃力が7になっている断章(しかも助っ人付き!)はなかなか強力でしたが見事勝利です。<魔弾>と<火球>で確実に削るギミックが見事にはまりました。断章は<逃亡>しようとしたものの無事回収しましたが、立会人の方は残念ながら逃げられました。

 蛇足ですが、断章名が<濡れた>ではさすがになんなので、<濡れ>に修正しました。細かいことですけど、名詞にしました。

ルーラーシーン
 断章<紅葉>が零時に憑依する
 刻印はNPCなので未使用、シーン表は7(魔法災厄)!

 通常なら、憑依深度が進行するシーンですが、フラグが立ったので変更しました。どっちみち憑依深度が上がってもリセットされますし。

 景清はときどき振らりと出掛けてしまう。街を当てもなくさまよう零時。駅前の広場を通り抜けようとしたとき、誰かが彼に声をかけた。「島倉零時君だね」。振り向くと40ぐらいの男が立っていた。小脇に重そうな本を抱えている。宗教かなんかか?

 勧誘されると思った予想は大きく外れた。「これは君に相応しいと思ってね」。男は抱えていた本を差し出してきた。どっちにしても面倒は御免だ。きびすを返して立ち去ろうとしたが、両肩を誰かに抑えられた。

 細い指。横目で見ると自分と同い年ぐらいの白人少女だった。けっこうかわいい、こういう状況でなければうれしいのに、そんなことを考える余裕が、まだこの時点ではあった。否、そんなことを考えている場合ではなかった。

 零時に禁書が憑依するギミックを追加しました。<逃亡>だけでは心許ないし、クライマックスの処理があのままではわけが分からないので。残りの断章が1つになった時点で零時が憑依されていなければ、こういうマスターシーンを挿入することとしました。

 また本来なら、こういう状態には予知判定を行うところですが、そこは彼女の暗躍で発生しないこととしました。というのも、なら最初にそれぞれの<アンカー>が憑依されたときはどうなのよ? となってしまいますので、その解答でもあります。

クライマックスフェイズ
 禁書「紅葉に濡れた烏羽」との集団戦

 住処に帰ってきた零時を出迎えた景清は、一目で事態を察した。天とルナを念話で呼びよせた。零時=断章<濡れ>は一行の持っていた断章たちと強制融合、「紅葉に濡れた烏羽」に戻った。そして、最後の戦いが始まった。

 トップバッターは席順から景清、本日初めての魔法戦である。というわけでクライマックスフェイズに入りました。この後の経過ですが、分科会の面々は劣勢を強いられました(ところどころいい場面はあったのですが、運悪く繋がらなかったんだよな~)。もちろんプロットできる状態の禁書は強いですし、今回は運にも恵まれました。

 しかし、PC間でデータを調整しなかったことが大きかったと思います。初参加の団長はもちろん、経験者のPCにも、ほとんど使われなかった魔法が発生したことを考えると、作成時にもっと確認すべきだったと反省しています。

 結果、景虎が死亡(後に復活)を始め、他も真の姿や運命の力を使い込みながら、なんとか勝ちました。

 それと、今回の一連の魔法戦で、禁書側にも<緊急召喚>を使わせたのですが、今考えてみると、誰もが持っているとは限らないと思いました。PCや大法典の所属者は間違いないと思いますが、皆さんいかがですか?

エピローグ

マスターシーン
禁書「紅葉に濡れた烏羽」が封印される

 ルナの<魔弾>によって禁書はとうとう倒れた。禁書の呪圏は消え去り、3人の呪圏が空間を覆い尽した。呪圏がひときわ高い音で渦巻く。<プライズ>の履行が始まった。封印を目的とする集団戦のプライズは「本になれ(あるいは戻れ)」が定型だ。

 倒れていた零時から、禁書が引き離される。それは、景清が見た通り、一枚の絵だった。絵には額がはめられ、屏風のように横に折りたたまれた。次は縦に、最後に表紙が巻かれると、封印の完成だ。島倉左門の「紅葉に濡れた烏羽」、一点だけの画集である。

 シナリオのマスターシーンは描写の積み上げができていなかったので使えませんでした。完全なオリジナルに差し換えです。

“恒河沙の制裁”土御門 景清
 生と死の境をさまよっていた景清は、因果の糸を手繰り寄せていた。誰がこの事態から救い出してくれるのか・・・彼の手を掴んだのは、彼女だった。景清が住処にしている神社の神職にして退魔師、そして、ちょっといい雰囲気・・・

 助けを乞う景清に、彼女は条件を出した。助ける代わりに自分の頼みを聞いて欲しい。選択肢はない。2つ返事で引き受ける。それで景清は現世に戻った。

 彼女の膝枕で目覚めた景清に、彼女は先ほどの話を切り出した。どうやらこちらも切羽詰っていたようだ。彼女の目が妖しく輝く。もしかして、これって憑依状態? 彼女は早口で未知の魔物に憑りつかれてしまった今すぐ祓って欲しい云々、と一方的に口走った。

 憑依された者は自分の意志で行動できない。しかし彼女のような超常能力者なら、一時的に体のコントロールを取り戻せることがある。今がそのときなのだろう。景清はその場から飛び起き、挑戦の名乗りをあげる。

「私は力の領域の魔法使い“恒河沙の制裁”! 汝を幾千の雷にて裁こう!!」

“クリムゾン チェイサー”天
 峰岸そらは禁書から解放された。しかし、根本的な問題がなくなったわけではない。ただ、禁書の影響がなくなったことで、神父との会話は本来の効果を取り戻したようだ。問題は神父がいつまで“ここ”にいられるかだ。

 教会ではない。現世にだ。彼が自身の秘密に気付くのはいつなのか、今日か、明日か、はたまた永遠に来ないのか・・・そしてそのとき、自分はどうするのか・・・若き魔法使いの悩みは尽きない。

“ウィスキー キャット”ルナ
 禁書の憑依から脱したからといって、被害者の置かれている環境が変わるとは限らない。そもそも禁書に憑りつかれるような環境や状態にあったから、彼らは憑りつかれたとも言える。

 安倍川もちるもその範疇に含まれる人間だ。禁書から解放されたにも関わらず、彼はミラクルに通っていた。もちるの人となりを知ったルナは以前のように彼を避けなくなった。ちょっといい雰囲気・・・になってはマズいので解決策を講じることにした。

 店を後にしようとしたもちるの背中に、ルナはそっと手を触れた。驚いて振り向こうとするのを制し、静かに“めくった”。「新しい人生を生きろ、お前は自由だ」。ルナがそう呟くと、そのままページに書き込まれた。

 ページを閉じて背中を押すと、もちるは振り向きもせず歩き出した。そして2度と、店には現れなくなった。ほどなく、もちるとルナの恋人との婚約は破棄された。もちるはこの街を出たらしい。元気にやってくれれば良いのだが。

プレイが終わって
 今回も、プレイそのものは盛り上がったし、面白かったと思います。

 今回の反省というか考察。今回使用したシナリオ「このままならぬ世界で」、最初の印象より難しかったです。特にNPCの内面描写、そして事件のあらましの描写、いつもならぶっつけ本番でもある程度のレベルに行くのですが、今回は及第点には及ばなかったと思います。

 むしろ問題は、経験者が集まったと思いフォローがおざなりになってしまったことです。さらに加えると、セッションの進みが思いのほか早く、エンディングまでたどり着こうとして流してしまったことです。もうエンディングを目指すのは止めたはずなのに、悪い癖が出てしまいました。

 後日ログやキャラクターを読み返すと、拾えた発言やネタの取りこぼしが目につきました。そもそもキャラメイク時の設定の練り上げが足りません。前回の反省としてキャラクター設定を練らないと決めたものの、やはり下限があります。

 結局のところ、セッションは水ものであり、うまく行ったり行かなかったりの繰り返しです。前回うまく行っていたやり方が今回もそうとは限りません。次回があれば、今回の経験を生かしたよりよいセッションを目指したいと思います(取りあえず今回出た課題を解決しておこうと思います)。

 最後に、この試みにつき合ってくださったPLのみなさんへの、再度の感謝で報告を終わりたいと思います。

 面白いプレイをありがとう! 次回も遊びに来てね!!

追伸:PLの皆さんへ
 記録に抜けがあり、細かい部分がうろ覚えです。「ここ違うよ」「これ入れて~」というところがあったら連絡ください。もちろん感想大歓迎です。

|

« 冒険の酒場8にご参加いただき、ありがとうございました!! | トップページ | TRPGってなに? それおもしろい?(前・後編) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 冒険の酒場第8回リプレイ報告~マギカロギア編シナリオ『このままならぬ世界で』:

« 冒険の酒場8にご参加いただき、ありがとうございました!! | トップページ | TRPGってなに? それおもしろい?(前・後編) »